『プレアデスの七人姉妹』と『行方知れずのプレヤードの星』の伝説★画:エリュー・ヴェッダー
2010年 01月 05日
上の絵はエリュー・ヴェッダー(Elihu Vedder:1836~1923)による『プレアデス七人姉妹の踊り』(1885年)。象徴主義あるいはラファエル前派の画家とされているお方。アメリカのお方ながらヨーロッパ的な芳香で19世紀末の耽美な世界に私を誘う。
右下の方に光が見える。これがギリシャ神話で『行方知れずのプレヤードの星』と呼ばれているものだそうだ。この星のお話は世界中の伝説にあるらしくどれも似た内容だという。冬空の美しい星団として知られる「プレアデス星団」の星たちになっているのは、マウリタニアの王、巨人アトラスとニンフのプレイオネの間に生まれた七人の娘たち。マイア、タイゲタ、アステロペ、エレクトラ、ケレーノ、アルキオネ、メローペ。この七人の姉妹に父と母が加わっての星の集まりと云われている。けれど、いくら目を凝らして眺めても現実に見える星は六個で、余程の視力の良さでないと七個は見えないのだそうだ。もしも、七個見えたなら九個見えるとも。
その見えない星を巡る伝説が『行方知れずのプレヤードの星』である。七人姉妹のうち一人だけが見えない(消えてしまった)というお話でとてもロマンチック!その一人はマイアであるとかエレクトラであるとか定かではないけれど、この姉妹たちはたいそう可愛らしい美少女たちで、野原で歌ったり踊ったりと、楽しく遊んでいたところを、オリオンに追いかけられ天に昇り美しい星になったという。
カナダの伝承ものでは、やはりこの七人姉妹(セヴン・シスターズ)が歌い踊っている場面が記されている。その美しい光景を見た青年が魅了されてしまい翌日もその場所にやって来る。ますます、魅せられてしまった青年は三晩目に姉妹たちを追いかけてしまう。けれど、慌てて天上に逃げてしまった。その時に逃げ遅れかごに乗り損ねてしまった少女が一人いた。
「あなたは、どなたですか。どこからやって来たのですか。」と青年は尋ねた。少女は「私たちは、七人姉妹で天上界に住んでいるのです。空が穏やかで湖も静かな時を選んで、ここに降りて来て星明かりで踊っているのです。」泣いていた少女のこの言葉を聞き一層愛らしく想った青年は結婚を申し込んだ。それは天上界で暮らすという条件のもと。そして、二人は仲良く暮らしたそうだ。いつも夫のかげに隠れて座っているこの乙女ゆえに、通常私たちの目には見えないのだというもの。どの娘なのかは記されていないので分らないけれど、「だれだろうなあ」って想うのが好き♪
☆新年、明けましておめでとうございます。相変わらずこんな調子でありますが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします!☆