『屋根裏部屋にて』の「ジョー」の詩★『愛の四少女(続若草物語)』より 作:ルイザ・メイ・オルコット
2009年 10月 08日
首のぬけた人形 すりきれたノート
鳥もけものも、 いまは何もいわない
幼い日 フェアリーの国からもって帰った
かずかずのえもののなつかしさよ
とおい日の思い出の甘さよ
書きちらした詩 まずい物語
あたたかかったりつめたかったりの
気まぐれなたくさんの手紙
りこうぶった少女の日記は
まだ若いのに老けこんでしまった女の名残りだろうか
ただひとり、さびしく家をまもっている女
「愛にあたいする者になれ、そしたら愛は来るであろう」
だれかがくりかえす。
真夏のにわか雨に似た、かなしい言葉をくりかえす
女はしずかに耳をかたむけている
★ジョーがある雑誌に投書した詩であり、ベーア先生との絆を深めることになる詩。ジョーはまずい詩だと想っていたけれど、ベーア先生の心にはしっかり届いたのだ。この詩は、屋根裏部屋の四人の姉妹の名を記した引き出しを見ながら書いたもの。ベスの死は姉妹の中でもジョーには特別な哀しみだったのだと想う。泣いてばかり過ごしていた勝気なジョー。素敵なジョーはオルコットの分身のよう。『愛の四少女』(この邦題が今も大好き!)と題された古いご本は私が小学生になった頃のもの。今では『続若草物語』として手にすることができる。四人の若草姉妹たちに愛が訪れるまでのお話。ベスがいないと想うとやはり悲しいけれど。