『マリアンヌの夢』と『かしこいポリーとまぬけなおおかみ』 作:キャサリン・ストー(CATHERINE STORR)
2009年 10月 07日
このお話の主人公である少女マリアンヌは10歳。お誕生日を迎える前に病気で入院してしまうことになる。9週間もの間外出できない。ある日、ひおばあちゃんの裁縫箱から鉛筆を見つけ絵を描き始める。家を描くとそれが夢の中に現れる。男の子マークを描くと彼も夢に...。けれど、その自分で描いた家に入りたくても入れない。また、そのマークという男の子は現実に病気で外にでることができない。目のある岩(石)が不気味な存在で怖い。この夢の中のマークというのは実は病気の少女マリアンヌ自身である。現実の不自由さや鬱憤を投影しているのだろう。キャサリン・ストーはこうした作品をいくつか書かれていて、それらは「心理ファンタジー」と称されるもの。とても素晴らしい!
私はヴィジュアルより活字をより好むのだと想う。「ファンタジー」という言葉の捉え方は一言では難しい。甥たちの時代にゲームやアニメーションは不可欠なもの。それもファンタジー世界。私はそれを否定する気はまったくない。けれど、できれば文字を読んで、お話を読み進めてゆく中のあの感動をも知っていて欲しいと彼等に願いながら、私の好きな児童書を手渡してみたりしてきた。冒険譚はやはり好きなので、読み出すまでは興味を持てなくても「面白かったよ!」と云ってくれるととても嬉しい。そんな彼等も大きくなった。私も毎年歳を重ねる。けれど、やはり活字好きらしい。映画も音楽も大好きだけれど、結局は同じようでもある。読んで心に描くもの、聴いて浮かぶ風景、美しい映像を観て、さらに思考することの意味は私には大きい。考えること、想像することってやはり何歳になっても止めたくはない。写真よりも絵の方がずっと好きなのは、そこにも「ロマン」を求める心が関係しているように想う。時空を超えるって大好き!今ばかりじゃ窒息してしまう。ある人は「童話」や「児童文学」というと幼稚に想われるかもしれない。そんなことはない。私は「子供の情景」が好き。なので、少女や少年が心から離れることはない。「ロリコン」と云われようがどうでもいい。私自身の人生の糧となっているのだから。私の心がいつまでもファンタジーを求めていてくれたなら、そんな幸せなことはないとも想える☆