『クジラの島の少女』 12歳の少女カフ 原作:ウィティ・イヒマエラ 映画化監督:ニキ・カーロ
2009年 09月 28日
このように語るのはニュージーランドの作家ウィティ・イヒマエラ。1987年に刊行された小説『クジラの島の少女』の作者。2002年には、同じニュージーランドの女性監督のニキ・カーロにより映画化もされた。その少女も可愛いお方であった。
女の子でもヒーローになれるし、男の子でも女神(ミューズ)になれる。私はこの主人公の12歳の少女と同じ歳であったという事実が嬉しい。多くの少女は愛らしい夢を抱き希望に溢れた日々を送っていただろう。私もそうではあるけれど、実に行動力の乏しい心だけは冒険家のようでもあったので、こうした少女が苦しい目に遭いながらも光を求め報われるお話はとても気分が良い。
クジラ乗りという先祖を持つオマリの一族。彼等は代々男性を長としてきたのだけれど、初めて女の子が生まれた。跡継ぎは男の子と切望する長である祖父は、どうしてもその少女カフを受け入れることができない。そんななか、のびやかに成長してゆく少女を襲う運命と愛と奇跡の物語。
伝統社会からの拒絶と軽蔑を受ける少女。けれど、その少女は死と再生、すべての苦難の末の平静と調和をもたらす使命を受けて海からやって来た少女。聖なる存在としてのクジラ。クジラというと妖精や少女との絆が深いと勝手に想い込んでいる。そのようなお話を好んで読んだり観たりするからだろうけれど。海は女性名詞である(フランス語で)。私はウーマンリブというものにあまり興味はない。けれど、男性視点の少女のお話のなんと多いことか...それらは好まれるのだろうけれど、私は少女も少年も尊い存在であるし、言いなりになる受動態の少女が健気に映る場合もあるけれど、そればかりが少女ではない。私の憧れていた少女は勇敢だった。その上美少女でもあった。
『ライラの冒険』の主人公は女の子。そんな冒険物語がもっと作られ観る方も増えると良いのに...と続編が未定なようなので寂しく想ったりする。この映画化された『クジラ島の少女』は原作よりも少女カフの心をより強く描いている。そういえば、映画ではカフは双子として誕生していた。そのもう一人は男の子だったけれど、死んでしまったということになっていた。
「エ ヒネ、エ ノホ ラ (少女よ、さようなら)」と泡立つ水の中、クジラは巨大な尾びれを振ってお別れの挨拶をする。海とクジラが織り成す調べに美を感じる☆
※苦手な夏と体調不良、そしていつもの如くの貧乏暇なし状態で、ここ数ヶ月更新が少なくて頭がもう、「爆裂少女都市」状態のようです。なので、脳髄少女たちと勝手気ままな想いをせっせと綴ってゆきたいと想います。いつも、ご覧頂いている皆様、ありがとうございます!