『地獄に堕ちた勇者ども』 (ルキノ・ヴィスコンティ監督) 死ぬまでにあと何十回再見するだろう★
2009年 08月 23日
相変わらずの作業に埋もれる毎日。体調不良は続くけれど気分だけは元気。その秘訣はやはり好きな音楽や映画を鑑賞して得られる不思議なエネルギー(栄養)。それでも、毎日泣いている。馬鹿みたいに泣いている。そんなテーマの作品ばかりを選んでしまう。映画感想をメモしておかないと!と思いながらもなかなか...。
私はルキノ・ヴィスコンティ映画が大好き!10代からずっとあの美学に感化され続けている。ただ綺麗なだけの映画ではないので幾度も再見を繰り返す。常に新鮮な想いを抱き思考する。そして、その果てしない深遠に慄く。”戦争を知らない子供たち”である私、バブル時代をのんしゃら過ごしてきた私。『地獄に堕ちた勇者ども』はもう10回以上は観ているけれど、まだまだ再見を繰り返すだろう。同じ映画を10回以上も観る作品って、そんなに多くは存在しない。好きな俳優方が集結していること、不謹慎かもしれないけれどナチス将校姿が好きなこと(美的に)、そして、戦争による悲劇を追求してしまう私がいる。『愛の嵐』が最初に好きになった洋画である。また、アンネ・フランクの伝記を幼い頃に読み心に突き刺さったもの、その痛みのようなものの中には目を見据えて凝視せねばならぬものがあるように思う。子供たちが主役の映画が好きだけれど、色々観てしまう。そんな中、最近ようやく自覚してきたのだけれど、私は同じ位に、重なるテーマも含めて”同性愛”に敏感に反応してしまう。好きなのだ!何故かは分からない。けれど、哀しい程に好きで胸が痛くなるということは確か。
久々に傑作と云える映画を見た。生涯忘れがたい映画作品の一つになろう。この壮重にして暗鬱、耽美的にして醜怪、形容を絶するような高度の映画作品を見たあとでは、大ていの映画は歯ごたえのないものになってしまうにちがいない。
このように三島由紀夫氏も讃美された映画。希望の光を微塵も残さずに終えるこの『地獄に堕ちた勇者ども』は、今を生きる私たちの歴史に関係している。ナチズムによる悲劇。断罪されずにいた事実を元に脚本化されたヴィスコンティにしか描ききれない滅びゆく美。デカダン映画としてだけではなく、政治映画でもある。