『八月の鯨』 老姉妹リビー(ベティ・デイヴィス)とセーラ(リリアン・ギッシュ) リンゼイ・アンダーソン
2009年 04月 28日
戦争で先立たれた夫への変わらない愛。薄化粧をし髪を整え、よそ行きのお洋服と靴に着替え、花一輪と蝋燭のともし火、そしてワインを用意する。そして、亡き夫のお写真を前にして語りかけるセーラ。私はリリアン・ギッシュがとても好きなのだけれど、何故好きなのかという答えが必要ではないことを、こういうシーンから得られる。幸せなのだ。”永遠の少女イコンであるリリアン・ギッシュ”の愛らしさ!この90歳を超えたお姿を拝見しても”可愛い~!!”と声に出してしまうくらい。たまらない。このセーラ役もリビー役も適役。ただ年老いた役者というだけではこの情感は表現出来ないと思う。そして、この撮影当時既に癌に侵されていたであろうベティ・デイヴィスの痩せこけたお姿。視力を失って自分の事が自分で出来ない、そんな苛立ちを流石の演技で見せてくれる。すべて自然な感じ。姉の白くなった長い髪を妹が梳くシーン。最後のこの老女優(名女優)お二人が固く手を握って微笑むシーン・・・私は、きっと年を重ねる度に、この人生を静かに謳い上げる名作を味わい続けるのだと思う☆
八月の鯨/THE WHALES OF AUGUST
1987年・イギリス映画
監督:リンゼイ・アンダーソン 脚本:デヴィッド・ベリー 撮影:マイク・ファッシュ 音楽:アラン・ブライス 出演:リリアン・ギッシュ、ベティ・デイヴィス、ヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリー・ジュニア、メアリー・スティーンバージェン、マーガレット・ラッド、ティシャ・スターリング