『童謡集 シング・ソング(SING-SONG)』 作:クリスティーナ・ロセッティ 挿絵:アーサー・ヒューズ♪
2009年 02月 21日
ずっとお話、 していたら
どんなお話、 もってきて
どんなお話、 するかしら
「百もの、きれいなものを見た
百もの、楽しいものを見た
だけど、夜しか出ないから
昼間のことは、分からない!」
★1872年に出版されたクリスティーナ・ロセッティ(Christina Rossetti:1830~1894)の童謡集『シング・ソング』より。ヴィクトリア朝時代の英国詩人であるクリスチナ・ロセッティの詩が好きなのだけれど(暗鬱かつ静寂なものが特に好きなので、またそのうちにと思う)、この『シング・ソング』は少し異色に思う。英国でこの『シング・ソング』が書評で取り上げられた時には、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』と並んで批評されたそうだ。当時の英国児童文学ではナンセンス・ブック人気が高まっていた頃で、この『シング・ソング』にもいくつかのナンセンス詩が含まれている。クリスチナの兄であるダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti:1828~1882)の友人のひとりであったルイス・キャロルことチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(Charles Lutwidge Dodgson:1832~1898)。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティが住んでいた「チューダー・ハウス」と呼ばれる古い邸宅で飼われていた多くの動物たち。その中のウォンバットは『不思議の国のアリス』のドーマウスのモデルとなったともいわれている。この『シング・ソング』の挿絵を担当しているのは「オフィーリア」や「四月の恋」が浮かぶ優美な画家アーサー・ヒューズ(Arthur Hughes:1832~1915)!。ラファエル前派大好きな私。世界中の19世紀末好きの私は、そんな時代の英国にしばし夢を馳せ、興味深い方々の交流を思い浮かべ心が悦ぶ。けれど、次の瞬間には愕然とする...でも、その束の間の夢と現実の往来を楽しんでいるようでもある♪
※詩と挿絵の頁は同じではないのですが、この挿絵が好きなので掲載させて頂きました。