『テス』 美しき娘テス(ナスターシャ・キンスキー) 監督:ロマン・ポランスキー原作:トーマス・ハーディ
2009年 02月 07日
とにかく美しい!!19世紀末の英国のドーセット地方が舞台となっている(実際のロケはフランスのノルマンディやブルターニュなどで行われたそうだ)。その田園風景や光と影の美しさ、農作業をする娘達の瑞々しさ、ナスターシャ・キンスキーの美しさは言葉に出来ない程!エンジェル役のピーター・ファースも好演しているし、ダーバヴィル家の息子アレック役のレイ・ローソン(ツイッギーのご主人でもある)の存在感も。ハンサムだし私はレイ・ローソンは悪役ながら気になっていた。そして、エンジェルの家族が彼のお嫁さんにと望んでいた娘マーシー役には、まだお若い頃のアリエル・ドンバール。出番は少ないけれど美しい印象を残してくださった。『テス』はとにかく”美しい”の連呼なのです♪
テスの背負った運命、エンジェルとテスの苦悩と愛の深さ、最後のストーンヘンジのシーン・・・清楚さと妖艶さを併せ持つナスターシャもお若いので今よりもさらにお声が可憐♪この大作をまだ無名に近かったナスターシャは見事にテスを演じきったと思う。とても、静かにあの瞳の奥底から放たれる強さは何だろう!有名な名シーンのひとつ、アレックが貧しくも美しい娘テスに魅せられ彼女の気を引くために苺を食べさせるシーンはやはり好き。隠しておられない過去をエンジェルに手紙で伝えようとするテスのエンジェルの様子を不安げにじっと待つ姿(その手紙は彼は読まずに結婚するのだけれど)にドキンドキンする。他にも沢山あるけれど、エンジェルがテスを運びたいがために他の女性3人を水溜りの中を一人ずつ運んでゆく、その時の二人の心と緑の草木と陽光の色彩にうっとりしてしまう。ハーディの小説はこういう運命的な愛を描き深い残像を残すので好き(メロドラマ的とも言えるのかもしれないけれど、メロドラマ大好き!)。そして、ポランスキーのこの『テス』もただ悲運なふたりの愛の物語で終わらない、さらに尊いものをラストシーンの後姿を見つめながら感じる。私にとって『テス』は、再見を繰り返す生涯の一作なのかも☆
テス/TESS
1979年・イギリス/フランス合作映画
監督:ロマン・ポランスキー 原作:トーマス・ハーディ 脚本: ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ、ジョン・ブラウンジョン 撮影:ギスラン・クロケ、ジェフリー・アンスワース 音楽:フィリップ・サルド 出演:ナスターシャ・キンスキー、ピーター・ファース、レイ・ローソン(リー・ローソン) 、デヴィッド・マーカム、アリエル・ドンバール
※2007年4月30日付にて『映画の宝石箱』に綴ったものです(只今ブログの整理中で重複いたしますが、ご了承ください)♪