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あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『テス』 美しき娘テス(ナスターシャ・キンスキー) 監督:ロマン・ポランスキー原作:トーマス・ハーディ

『テス』 美しき娘テス(ナスターシャ・キンスキー) 監督:ロマン・ポランスキー原作:トーマス・ハーディ_b0106921_14152522.jpg
3時間近い文芸大作『テス』。色褪せない美しくも哀しい運命と愛の物語で全てに於いて大好きなもの。私はこの映画でナスターシャ・キンスキーという美しい女優さまを知り、それ以来今も大好きなお方。監督はロマン・ポランスキー。ポランスキーは『ローズマリーの赤ちゃん』で知った。はっきり覚えていないのだけれど、多分この『テス』は映画雑誌の広告を見て直ぐに反応したと思う。その時はポランスキー監督作品だからという動機で観たものではないと思う。後に色々絡み合い、繋がり合い、今ではポランスキー監督はお気に入り監督のお一人となっている。また、思いつくままに。先ずは原作は英国文学のトーマス・ハーディ(トマス・ハーディ)で、嘗ての監督の愛妻で美しいシャロン・テイトが映画化をお薦めしたもの。なので、冒頭に”シャロンへ”という献辞が表れる。命があればシャロン・テイトがこのテスを演じていたのかもしれないと思うと、監督がどのような思いで、愛を込めて丁寧に撮った作品だろうか...と胸が熱くなる。ナスターシャはこの『テス』で一躍脚光を浴び、ゴールデン・グローブの新人賞を受賞。監督や撮影、衣装、美術(音楽はフィリップ・サルド)・・・と各国で数々の賞に輝く名作でもあるけれど、もう随分前の作品なのだとふと思う。ナスターシャも今はもう30年以上の女優キャリアのお方、監督は『戦場のピアニスト』でオスカー受賞。しかし、ポランスキーは亡命者である(ポランスキーについては長くなるので、また追々)。

とにかく美しい!!19世紀末の英国のドーセット地方が舞台となっている(実際のロケはフランスのノルマンディやブルターニュなどで行われたそうだ)。その田園風景や光と影の美しさ、農作業をする娘達の瑞々しさ、ナスターシャ・キンスキーの美しさは言葉に出来ない程!エンジェル役のピーター・ファースも好演しているし、ダーバヴィル家の息子アレック役のレイ・ローソン(ツイッギーのご主人でもある)の存在感も。ハンサムだし私はレイ・ローソンは悪役ながら気になっていた。そして、エンジェルの家族が彼のお嫁さんにと望んでいた娘マーシー役には、まだお若い頃のアリエル・ドンバール。出番は少ないけれど美しい印象を残してくださった。『テス』はとにかく”美しい”の連呼なのです♪

テスの背負った運命、エンジェルとテスの苦悩と愛の深さ、最後のストーンヘンジのシーン・・・清楚さと妖艶さを併せ持つナスターシャもお若いので今よりもさらにお声が可憐♪この大作をまだ無名に近かったナスターシャは見事にテスを演じきったと思う。とても、静かにあの瞳の奥底から放たれる強さは何だろう!有名な名シーンのひとつ、アレックが貧しくも美しい娘テスに魅せられ彼女の気を引くために苺を食べさせるシーンはやはり好き。隠しておられない過去をエンジェルに手紙で伝えようとするテスのエンジェルの様子を不安げにじっと待つ姿(その手紙は彼は読まずに結婚するのだけれど)にドキンドキンする。他にも沢山あるけれど、エンジェルがテスを運びたいがために他の女性3人を水溜りの中を一人ずつ運んでゆく、その時の二人の心と緑の草木と陽光の色彩にうっとりしてしまう。ハーディの小説はこういう運命的な愛を描き深い残像を残すので好き(メロドラマ的とも言えるのかもしれないけれど、メロドラマ大好き!)。そして、ポランスキーのこの『テス』もただ悲運なふたりの愛の物語で終わらない、さらに尊いものをラストシーンの後姿を見つめながら感じる。私にとって『テス』は、再見を繰り返す生涯の一作なのかも☆
『テス』 美しき娘テス(ナスターシャ・キンスキー) 監督:ロマン・ポランスキー原作:トーマス・ハーディ_b0106921_14154444.jpg

      テス/TESS
1979年・イギリス/フランス合作映画
監督:ロマン・ポランスキー 原作:トーマス・ハーディ 脚本: ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ、ジョン・ブラウンジョン 撮影:ギスラン・クロケ、ジェフリー・アンスワース 音楽:フィリップ・サルド 出演:ナスターシャ・キンスキー、ピーター・ファース、レイ・ローソン(リー・ローソン) 、デヴィッド・マーカム、アリエル・ドンバール

※2007年4月30日付にて『映画の宝石箱』に綴ったものです(只今ブログの整理中で重複いたしますが、ご了承ください)♪
by claranomori | 2009-02-07 21:11 | 文学と映画★文芸・史劇