"あなたの好きな俳優さんは?"と尋ねられたなら。男優さまの名前は5,6人はスラスラと出て来ますが、女優さまとなると何十人もの名を次々と並べることになる私です。でも、その時、いつも最初に挙げる人は決まっています。2番目も(初恋の女優さまであるシャーロット・ランプリングです!)。その私の一等大好きな女優さまはドミニク・サンダ!日本未公開ものも沢山あるのですが、彼女の名を見つけたものは可能な限り観ています。どれも好きなのですが、マクシミリアン・シェル監督の『初恋』(1970年)は中でもとっても大好きな作品です。
原作はロシアの文豪ツルゲーネフ。16歳の少年が別荘で過ごした数週間。その間に年上の女性に初恋し、その愛した人が父親の愛人であると知った少年の揺れ動く心理を繊細に描いたものです。その年上の女性ジナイーダ・アレクサンドロヴナ役がドミニク・サンダ。このファム・ファタルなジナイーダ役のイメージはドミニク・サンダにピッタリだと想います。少年アレキサンダー(原作ではウラジーミル・ペトローウィチ)に対して、異常な程の寵愛ぶりを見せるかと想えば、ある時はサディスティックな側面を覗かせる、得体の知れない神秘的な存在。当時のロシアの旧体制崩壊という時代背景と共に、この没落貴族の令嬢の気高き誇りと現実との狭間でバランスを崩す精神状態を想像すると途轍もない想いがします。そのジナイーダ役を見事に演じてしまうドミニク・サンダ。美しい映像の中で身に纏っている長いドレスも実に素敵です。この美しい映像を撮影しているのはスヴェン・ニクヴィスト(イングマール・ベルイマン作品等でも有名)で、ハンガリーを中心にヨーロッパ各地でロケを行ったものだそうです。この耽美的かつロマンティックな詩的な風景達と共に、瑞々しく爽やかな英国美少年俳優の
ジョン・モルダー=ブラウンと気高き妖精!ドミニク・サンダのおふたりのキャスティングは見事です。当時20歳そこそことは想えないドミニク・サンダですが、私はこのお方の持つ(どの作品にも表れる)孤高の冷たい眼差しが死ぬ程大好きなのです。その視線はどこか危うくて何もかも見抜いている様でもあり、途方も無い彼方に向けられている様でもあります。美少女、ロリータも大好きですが、このお方だけはどこにも属さない存在。私にとってのまだ未知の妖精の国、あるいは150年~200年前から生き続けている架空の夢物語りのヒロイン...。私の心の中にいつもしまってある一際気高き輝きを放ち続けている宝石の様な大切な存在です。想い浮かべるだけで緊張してしまう程に大好きな極限の美!ああ☆お美しきドミニク様♪
初恋 ファースト・ラブ/FIRST LOVE
1970年・イギリス/フランス/スイス/西ドイツ/アメリカ合作映画
監督:マクシミリアン・シェル 原作:イワン・ツルゲーネフ 撮影:スヴェン・ニクヴィスト 出演:ドミニク・サンダ、ジョン・モルダー=ブラウン、ヴァレンティナ・コルテーゼ、マクシミリアン・シェル
※随分前に『BRIGITTE』の会報に書いたものを一部加筆いたしました。もっと想い巡ることが多数ありますので、また追記予定です。”ドミニク・サンダ”は母も好きな女優さまでしたので、一緒にこの『初恋』も、『暗殺の森』も観ました。もう大好きなお方で、普段は”ドミニク様”とお呼びしています♪70年代を代表する女優さまのお一人だと想います☆