あまりにも私的な少女幻想、あるいは束の間の光の雫。少女少年・映画・音楽・文学・絵画・神話・妖精たちとの美しきロマンの旅路♪


by chouchou
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『AMY エイミー』 歌うことでしかコミュニケーションできない少女エイミー(アラーナ・ディ・ローマ)♪

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オーストラリアの女性監督ナディア・タスによる映画『エイミー』(1997年)は、公開される10年前に脚本は既に出来上がっていたのだと監督は語っている。予算が集まらなかったこと、そして少女エイミー役がなかなか見つからずにいたという。8~9歳位の黒い髪、青白い肌でモナリザに似ていて、歌が歌える少女を監督は世界中を探し巡りようやくシドニーのオーディションで、このアラーナ・デ・ローマ(アラーナ・ディ・ローマ)と出会ったのだそうだ。私は最初はお気に入りのレイチェル・グリフィスの出演作で少女も出ている映画だというので観たもの。そして、とても感動した!

9歳の少女エイミー(アラーナ・デ・ローマ)は聾唖という状況。4歳の時にロックミュージシャンの父がコンサート中に雨による感電が原因で亡くなるのを目の前で見てからのこと。大好きだったパパの死がトラウマとなり心を患ってしまったのだ。母親タニア(レイチェル・グリフィス)も同じくそのステージの端で娘と最愛の夫の死を...心の傷は消えないし癒えない。児童福祉からの圧力もかかる。娘エイミーを聴覚障害児学校へ行かせるように役人たちは言う。そんなふたりはメルボルンの素朴な町に引っ越してきた。近所にはザックという少年がいて仲良くなる。彼の家庭は両親の喧嘩が絶えない。毎日路上や草木に水撒きをする老女たちの住む町。売れないミュージシャンのロバート(ベン・メンデルソーン)が弾き語りで歌っているとエイミーがその歌の歌詞を聞き、消え入るようなか細く愛らしいお声で”死んだら...”と声を発した。ロバートはエイミーの耳は聞こえるし声も出るのだと母親に告げる。けれど、普通の会話ではエイミーの変化は依然ない。嘘をついてると娘に近寄らないようにと怒る母親。ロバートはなんとかしてエイミーの力になりたいと思い、会話を全て歌にする。そして、ある日ふたりで公園に遊びに行った。その時のエイミーの清々しく可愛らしい姿を緑の景色や鳩たちと共に映像は美しい!でも、相変わらずお役所の方たちが訪れる。

紆余曲折あれど、遂に母親タニアがラジオから流れる死んだ夫ウィル(ニック・バーカー)の曲に合わせて歌うエイミーの声を聞く!ロバートに感謝の気持ちと謝罪を告げふたりの交流も始まる。終盤のクライマックス。野外コンサートでウィルの曲を歌うミュージシャンの声を聞き、エイミーが”ダディー!ダディー!”と叫ぶ場面が忘れられない...まだ幼かったエイミーは父親の死を受け止めることが出来なくて、想像の世界ではまだ生きていたのだろう。そして、思いもよらぬ父親の死を自分のせいだと思い込んでいた。そうではないのだと良き理解者である児童心理学の専門医アーカートは、あの日、エイミーはママとずっと一緒にいたことを優しく話す。エイミーの心の殻がようやく...歌声も素晴らしいけれど純真な姿のエイミー、ロバートや隣人の人々の優しさ、警察の方々まで歌いながら捜索する場面も微笑ましい。そして、母親役のレイチェル・グリフィスはオーストラリアを代表する演技派女優のお一人だと思っている私は、このタニア役でもふとした表情や仕草、地味ながら複雑な心の描写は見事だと感涙した☆
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   エイミー/AMY
1997年・オーストラリア映画
監督:ナディア・タス 脚本・撮影:デヴィッド・パーカー 音楽:フィリップ・ジャド(スプリット・エンズ) 出演:アラーナ・デ・ローマ、レイチェル・グリフィス、ベン・メンデルソーン、ニック・バーカー
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by claranomori | 2009-01-29 19:10 | 銀幕の少女たち・少女映画